届け出義務ない「1%以下」建材 目立つ業者の誤測定 |
建物の解体や改築時に、大気汚染防止法(大防法)では届け出義務のないアスベスト(石綿)の含有率1%以下の吹き付け建材について、測定の誤差から実際は1%を超えていたり、現場で高濃度の石綿が飛散している実態が相次いでいることが「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」(東京都江東区)に寄せられた情報でわかった。国のPRTR(環境汚染物質排出移動登録)制度では含有率0.1%以上を対象にしており、同センター代表の名取雄司医師は「大防法もPRTRに合わせるべきだ」と指摘。同法の改定を目指す今国会の審議にも影響を与えそうだ。
同センターなどによると、西日本の福祉施設では昨年、改築のため民間業者に建材の調査を依頼し、石綿含有率は0.9%だった。ところが、同じ建材を公的機関が検査したところ、石綿含有率は届け出基準を超える約2%だった。
また、近畿のある公共施設では、業者の検査で建材の石綿含有率はわずかに1%に満たなかった。このため飛散防止措置を取らずに改築工事に着手したが、室内の石綿濃度は、大防法で定めた石綿工場の敷地境界での規制値である「1リットル当たり石綿繊維10本」の2倍近くに達していた。
専門家は「業者による石綿の測定は方法の誤りや誤差が目立ち、小数点以下の数字はあまり信用できない」と指摘する。
吹き付け石綿の定義については、大防法関連の法令では定めはないが、環境省が01年に発行した手引書で「石綿を1%超えて含有する」としている。 |
化学物質の測定に詳しい環境監視研究所の中地重晴所長の話
1%以下でも吹き付け材に石綿を意図的に混入させたとみられるケースでは、工事の際に除去や封じ込めなどの措置をすべきだ。信頼できる定量分析法の確立が求められる。 |
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